2020年度通期見通し
続いて内田氏より2020年度の通期見通しが発表された。
まず販売台数はグローバル全体の需要が対前年比で16%落ち込み7204万台。日本や中国は7~8%程度の落ち込みと予想するが、北米や欧州など新型コロナウイルスが猛威を振るっている地域は20%程度落ち込むと推測。日産単体もグローバル全体で16.3%落ち込み412万5000台の販売を見込んでいるが、グローバル全体の市場占有率は5.73%と2019年レベルをキープできるとしている。これは新型コロナウイルスの第2波がこない前提とした数値。
そして、2020年度通期の売上高は対前年比マイナス21%の7兆8000億円、営業損失4700億円、当期純利益はマイナス6700億円と発表。収益、フリーキャッシュフローともに非常に厳しい1年になると見込まれるため、配当の支払いは見送る予定とした。
ただし、2020年度に2018年度対比で3000億円の固定費削減の取り組みは計画通りに進んでいて、減価償却費、広告宣伝費、一般管理費などで1500億円を超える削減を実施すると結んだ。
NISSAN NEXTの継続
続けて内田社長は事業構造改革計画「NISSAN NEXT」も改めて言及。2023年までに収益を確保した着実な成長と、財務基盤の強化、日産らしさを取り戻し、その後の新たな10年を戦える体制の再構築を狙うもの。
生産能力と商品ラインアップの最適化と固定費削減を確実に行ないつつ、コアマーケット、コアモデル、コアテクノロジーに関する選択と集中をきっちり実施することで、再び成長軌道に乗せるとした。
また、新型車の市場への投入も着実に実施することを明言。アメリカでは新型「ローグ」を皮切りに、新型「パスファインダー」「フロンティア」、さらにインフィニティブランド2車種を投入。
日本国内は全グレードにe-POWERを搭載した「キックス」を発売。今後もe-POWER搭載車を拡充させて「アリア」を含めて電動化率60%を目指す。Cセグメント、Dセグメント、EV、スポーツカーに関して、今後もラインアップの刷新と商品力の強化を積極的に進めると最後に語気を強めた。
また、質疑応答で通期の赤字幅が想定内か問われると内田氏は「5月の時点で落ち込みを想定していたので、内容としては非常に厳しいが想定内の範囲。また、地域別に見るとアメリカの状況がより厳しくなっている。しかし、NISSAN NEXTの取り組みを確実に実行すれば2023年度までに会社を再び成長に戻せると確信している」と回答。
さらに今後の研究開発費について問われると、CFOのマー氏が「2020年度は5300億円ほど予定していて、2019年度が5450億円くらいだったので、ほぼ前年並み。また、設備投資については4400億円くらいを予定。これは2019年度が5190億円なので、若干減らしている。ただし、コア商品をコア市場に予定通りに投入するため、開発研究費も選択と集中により適正に使用していく」と回答した。
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