政府が昨年10月の消費税率引き上げに伴う消費喚起策として導入したキャッシュレス決済の「ポイント還元制度」が、今月末で終了する。約115万店が参加し、3月末までの決済額は約8兆円に上る。新型コロナウイルスの感染拡大で現金の受け渡しを避けようとする動きもあり、キャッシュレス決済の普及に一定の効果を上げたが、今後も勢いが持続するかが焦点となる。
■年配にも
「お得感もあって、年配にもキャッシュレス決済の利用が広がったのでは」
東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街の衣料品店「サン・まつみや」の尾崎朋子店長(38)は還元制度の効果を実感する。
同店では、以前はクレジットカードの利用者もほとんどいなかったが、還元制度に合わせてスマートフォン決済の端末を導入した。最近は全体の2割程度がキャッシュレス決済だという。
還元制度は、クレジットカードやQRコード、Suica(スイカ)などの電子マネー、利用時に銀行口座からお金が引き落とされる「デビットカード」による買い物が対象となった。支払った額に対し、中小店では5%分、コンビニなど大手チェーンのフランチャイズ店では2%分を還元する仕組みだ。還元の原資を確保するために政府が2019年度当初予算以降に計上した予算は、約7500億円に上る。
■決済37億回
還元制度に参加した小売店は全国で約115万店と、対象となり得る全国の約200万店の6割近くに達した。昨年10月から今年3月の総決済額は7・9兆円、還元額は3290億円だった。利用回数は37億回余りに上った。
経済産業省によると、2019年の民間消費に占めるキャッシュレス決済の比率は前年比2・7ポイント増の26・8%と、過去最高を更新した。ただ、キャッシュレス比率を25年に40%とする政府の目標には依然遠い。
今年9月からはマイナンバーカードを活用したキャッシュレス決済で25%を還元する「マイナポイント制度」が始まるが、マイナンバーカードの普及率(6月1日時点)は約17%にとどまる。
ニッセイ基礎研究所の福本勇樹・主任研究員は「ポイント還元制度の終了で、キャッシュレス決済がこれまでの勢いで伸びるのは難しい。小売店のキャッシュレス対応を促す方策を考える必要がある」と指摘している。
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June 27, 2020 at 09:22AM
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