マスク姿で地下鉄駅を歩く人々(14日、北京)=ロイター
【北京=原田逸策】中国国家統計局が16日発表した2020年4~6月の国内総生産(GDP)は物価の変動を除いた実質で前年同期比3.2%増えた。生産や投資が回復し、2四半期ぶりにプラス成長に転換した。新型コロナウイルスを抑えこみ、先進国に先駆けてプラス成長に戻った。
成長率は日本経済新聞社と日経QUICKニュースが調査した市場予想の平均(1.1%)を上回った。景気の実感に近い名目成長率は前年同期比3.1%で1~3月(マイナス5.3%)から上昇した。
中国の実質GDPは1~3月に前年同期比6.8%減り、四半期の成長率を公表し始めた92年以降で初のマイナスだった。中国は3月中旬には新型コロナの感染拡大を止め、2四半期連続のマイナス成長による「景気後退」は回避した。
前期比の実質成長率(季節調整済み)は11.5%と1~3月(マイナス10.0%)からプラス転換した。先進国で一般的に用いる、前期比の伸び率が1年間続いたと仮定した「年率換算」の成長率は55%程度になる。
16日はGDPと同時に他の統計も公表した。
工業生産は1~6月に前年同期比1.3%減った。減少幅は1~3月(8.4%減)から縮小した。6月単月では前年同月比4.8%増え、伸び率は5月(同4.4%増)から拡大した。自動車、半導体、鉄鋼などの生産量が回復している。
工場やマンションの建設などを示す固定資産投資は1~6月に前年同期比3.1%減った。公共工事の執行が加速され、減少幅は1~3月(同16.1%減)から縮小した。道路や鉄道などインフラ投資は1~6月に同2.7%減となり、減少幅は1~3月(同19.7%減)から大幅に縮小した。不動産開発投資は1~6月に同1.9%増え、1~3月(同7.7%減)からプラスに転換した。
スーパーや百貨店、電子商取引(EC)などの売上高を合計した社会消費品小売総額(小売売上高)は、1~6月に前年同期比11.4%減った。減少幅は1~3月(同19%減)から縮小したが、生産や投資より回復が鈍い。6月単月では前年同月比1.8%減った。「巣ごもり消費」を背景にインターネット販売は好調で、モノとサービスの合計で1~6月に前年同期比7.3%伸びた。
外需は回復が鈍い。1~6月の輸出(ドル建て)は前年同期比6.2%減った。1~3月(同13.3%減)から減少幅は縮んだが、回復のペースは緩やかにとどまる。新型コロナの感染は世界中で拡大しており、今後の回復も見通しづらい。
中国は2四半期ぶりにプラス成長に復帰したが、雇用や消費の改善は遅れている。08年のリーマン・ショック時のように世界経済をけん引する力強さはない。
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中国、プラス成長に転換 4~6月GDP3.2%増 - 日本経済新聞
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