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日経平均、3カ月半ぶりに2万3000円台回復:識者はこうみる - ロイター (Reuters Japan)

[東京 8日 ロイター] - 8日の東京株式市場で、日経平均株価は続伸。2月21日以来、約3カ月半ぶりに2万3000円台を付けた。前週末の米国株式市場での大幅上昇を好感し、幅広い銘柄で買いが先行している。

 6月8日の東京株式市場で、日経平均株価は続伸。2月21日以来、約3カ月半ぶりに2万3000円台を付けた。写真は2018年10月、東京証券取引所で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

金融市場に関する市場関係者の見方は以下の通り。

●株式こうみる:期待先行の上げ、今後は「検証」局面に

<大和証券 チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和氏>

前週末の米国株が大幅に値上がりし、日経平均も2万3000円台を回復している。12日のメジャーSQ(特別清算指数)算出を前に日本株はさらなる需給の改善もあり得るため、今週は2万3000円台半ば程度まで一段の上昇があってもおかしくはない。ただ、株価は急ピッチで戻してきたため、高値では利益確定的な売りにも押されやすくなる。早期の景気回復期待に基づく株価の堅調推移は続きそうだが、一気に上抜けていく展開にはなりにくい。

期待先行で上昇してきただけに、今後、夏場にかけて企業決算や経済指標など足元の経済の回復ペースを見極める「検証」のフェーズに入ってくるとみている。

香港を巡る米中対立の先鋭化や、黒人男性の死亡事件を受けた米国内での抗議デモ拡大など悪材料もくすぶっており、マーケットから完全に問題視されなくなることはない。ある程度上昇が一服したところでこれらのリスクが再度クローズアップされる可能性もあるため注意が必要だ。

●株式こうみる:底堅い展開続く、悪材料出た際の抵抗力計る局面に

<野村証券 投資情報部投資情報二課・課長代理 神谷和男氏>

株価上昇の材料になった米国雇用統計については、賃金の低い業種から回復したという特徴が見受けられる。労働者の職場復帰が進む実態がある点が注目でき、市場が期待する経済回復を裏付ける内容だった。一方、設備投資の回復も期待できるような統計が出始めたほか、金融市場はカネ余りの状況にあり、底堅い展開が続く可能性が高くなっている。

ただ、需給に支えられた相場は意外に脆い。当面、現実の社会は新型コロナウイルスに対する抵抗力を計るのに対して、株式市場は悪材料が出た際の抵抗力を計る局面になりそうだ。

経済実態については回復に向かっていると言っても、緩慢な上昇トレンドにあり、流動性に支えられた株式市場のV字回復とギャップが大きい。今後はリスクオンの流れで株式市場や原油先物などに回っている余剰資金が、スムーズに実体経済へ回るかどうかがポイントになりそうだ。

●円債こうみる:日米中銀次第、金利上昇抑制に動くか

<JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇 貴史氏>

米国の雇用状況はまだ見極めが必要だろう。5月の米雇用統計はサプライズ的に改善したが、一時的な休業者の扱いなどデータとして不安定なところがある。雇用にプラス効果をもたらしたとみられる「給与保護プログラム(PPP)」は今後、順次期限を迎えるが、企業がその後に解雇を進める可能性もある。

新型コロナによる悪影響が一巡した後に、どの程度、失業者がいるのか、夏ごろに出てくるデータを冷静に分析する必要がある。

米金利は、米連邦準備理事会(FRB)の動き次第だろう。今後、米国債が大量に発行される中、「流動性維持」だけではなく「金利上昇抑制」も米国債買い入れの目的に入っているのかどうかを問われることになる。大量の国債発行が予定されており、FRBのサポートなしでは、金利上昇は止めにくい。

日本も同様だ。7月からの国債増発に対し、日銀が国債買い入れオペをどの程度増やしてくるかが今後の円債金利の水準を決めることになろう。イールドカーブ・コントロール政策のターゲットは10年金利だが、超長期金利が上昇して、10年金利に影響を及ぼすようであれば、超長期債の買い入れを増やす可能性もあるとみている。

●為替こうみる:FOMCでイールドカーブ制御なければ、110円回復も

<オフィスFUKAYA代表 深谷幸司氏>

ドルを巡る環境には変化がみられる。

5月の米雇用統計は予想外の強さを示し、5月中には0.6%台で低迷していた米長期金利(米10年国債利回り)は前週末、2カ月半ぶりに0.9%に乗せた。

米国の景気回復期待と長期金利の上昇が、ドルを110円台に底上げするか否かについては、今週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が鍵を握ることになりそうだ。

FOMCでは、フォワードガイダンスの強化に加えて、FRBがイールドカーブ・コントロール(YCC)に踏み切るかどうかが最も注目される。

米国政府の大規模な財政出動を受けた国債増発によって、長期金利には上昇圧力がかかるが、長期金利上昇によって、景気刺激策の効果が薄れる可能性もあり、その点では、FRBがYCCによって長期金利を抑制することは理にかなう。

ただ、既に景気が回復に向かっているのであれば、そこまで市場に介入する必要があるかどうか再考しようという意見が、FOMCメンバーの間で増えても不思議はない。

YCCの導入に前向きな意見が後退するのであれば、景気回復期待を背景に米長期金利が緩やかに上昇する中で、ドルが上昇のモメンタムを維持する可能性が高まる。

このところの外為市場では、リスク選好局面でドルと円が同時に売られ、ユーロや資源国通貨などが買われてきた。

しかし、米国が利回り曲線を抑え込まないのであれば、利回り曲線が徐々にスティープニングし、それに連れてドルが110円台を回復する、つまり、リスク選好とドル高が両立する局面が現れると考えている。

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