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サントリーも日本ハムも参画、トライアルのスーパーマーケット向けAIで何が起こるか - BUSINESS INSIDER JAPAN

小売りAI「REAIL」

Retail AIの小売業向けAIソリューション「リアイル」に参加する企業。左から、Retail AI、サントリー酒類、日本アクセス、日本ハム 、ムロオ、フクシマガリレイ。メーカー、流通、配送事業者、ハードウエアメーカーまで、スーパーの小売りに関する川上から川下までの事業者が登壇した形だ。

撮影:笠原一輝

九州などを中心に総合スーパーなどの小売り業を展開しているトライアルカンパニーの持ち株会社、トライアルグループ(以下、両社合わせてトライアル)。

その子会社で、小売り向け向けのAIソリューションを開発するRetail AI社は2月25日、開発中の小売り業向けAIソリューション「リテールAIプラットフォームプロジェクト“リアイル”戦略発表会」を開催した。

サントリー、日本ハムなどのメーカーから、流通、配送事業者、冷蔵庫などの事業者まで、スーパーマーケットに関連する大手が参加した発表会で語られたのは、日本の小売りをAIの目でどう効率化しロスを減らすか、だった。

注目集まる、トライアルと子会社の小売り向けAI

小売りAI「REAIL」

フクシマガリレイの冷蔵ショーケース、上部にRetail AIのAIカメラが取り付けられている。

撮影:笠原一輝

トライアル発表会の登壇企業

  • 飲食品販売:サントリー酒類、日本ハム
  • 流通:日本アクセス
  • 配送事業者:ムロオ
  • 業務用機器メーカー:フクシマガリレイ

小売り向けAI「リアイル」は、店舗内の商品棚などに設置する「AIカメラ」と、タブレット端末とバーコードスキャナーなどが取り付けられた「スマートショッピングカート」などからなる。

商品棚の欠品状況、顧客の購買行動などをデータとして可視化し、商品の廃棄の前に値段を動的に下げるダイナミック・プライシング(動的な値段の変更)やAIにより自動発注などの機能を実現している。

小売りAI「REAIL」

スマートショッピングカートの実物。カートにバーコードリーダーと液晶タブレットが合体したもの。

撮影:笠原一輝

小売りAI「REAIL」

電子棚札、E-Inkになっており、動的に値札を変えることができる。

撮影:笠原一輝

小売りAI「REAIL」

Retail AIが什器で使用するAIカメラ。

撮影:笠原一輝

すでにトライアルが九州圏に展開している総合スーパーなどで取り入れ、このほど4月24日に千葉市に新装開店する計画のトライアル長沼店にも導入する。

トライアルは九州を中心に「スーパーセンタートライアル」など総合スーパーを展開している小売り事業者だ。トライアルは、マシンラーニング(機械学習)のアプローチを活用したAIソリューションを小売り事業に適用した先進的な企業として、AI界隈では名を知られた存在だ。

小売り業のアナログを機械学習の技術でデジタル化する

小売りAI「REAIL」

Retail AI社長の永田洋幸氏。

撮影:笠原一輝

AIカメラは、商品棚近くに取り付けられ、欠品や顧客の購買動向などをデータとして記録できるほか、棚に取り付けた電子棚札が、表示する価格を動的に変えていくダイナミック・プライシング(動的価格設定)を行って、商品の廃棄ロスを抑制するといったことが可能になる。

スマートショッピングカートには、タブレットとバーコードを読み取るリーダーが搭載されている。顧客がバーコードリーダーで商品を読み取りかごに入れていくと、最後にゲートを通るだけで決済まで完了するわけだ。

タブレットには、購入する商品のリストが表示されるほか、ユーザーに最適なプロモーション情報(例えばレタスを買った顧客に対してドレッシングの特売を表示するなど)を表示する仕組みになっている。

小売りAI「REAIL」

カゴの重量が増えると、バーコードのスキャンを促す。

撮影:笠原一輝

小売りAI「REAIL」

カート上のタブレットで決済まで完了できる。

撮影:笠原一輝

小売りAI「REAIL」

タブレットに表示されるプロモーション情報。購買情報から買ったものを分析し、ドレッシングがレコメンドされた。

撮影:笠原一輝

POSデータとAIカメラの分析でサントリーのシェアが増えた

小売りAI「REAIL」

同様の小売り向けAIソリューションは、リニューアルオープンする長沼店(千葉市)に導入される。

撮影:笠原一輝

Retail AIではこうした機能をすでに九州の店舗に導入済みだ。例えば、「トライアル東篠崎店」では、AIカメラが400台、スマートショッピングカートが220台、サイネージが46台、電子棚札を200枚導入、実際に利用されているという。

小売り事業者におけるデータ活用は、有名なところではいわゆるPOSシステムがある。

小売りAI「REAIL」

撮影:笠原一輝

リアイルに参加しているサントリー酒類は、

「重要なことは単にハードウェアとして提供することではなく、リアイルに参加している企業が同じクラウドを基盤としてデータを集約していくことだ。そうしなければお客様にメリットを提供することができない」(営業推進本部 部長リテールAI推進チーム シニアリーダーの中村直人氏)

小売りAI「REAIL」

サントリー酒類の中村直人氏。

撮影:笠原一輝

と述べ、小売り事業者であるトライアルだけでなく、メーカーや、流通事業者なども含めて皆が同じクラウドをベースにしたAIのソリューションを活用し、データを一元管理していきたいとした。

各社が個別に仕組みづくりをするのではなく、川上から川下まで事業者が一体になって取り組んで行くことが重要だという主張だ。

小売りAI「REAIL」

サントリー酒類とトライアルの共同での取り組みではビールのシェアが3年間で5.4%増え、23.3%になった。

撮影:笠原一輝

小売りAI「REAIL」

1社だけでなく業界でチームとして構築しなければ効果が出ない。サントリーもデータをプラットフォームに接続することで、この成果を出している。

撮影:笠原一輝

また、「リアイル」に参加している食品流通事業者である日本アクセス(伊藤忠商事100%子会社)は、「POSのデータでもある程度のことはわかるが、欠品率やお客様がどのように動いているかなどを把握することはできない。しかし、コンピューターが目を持つことになるAIの破壊力は大きく、売り場(の状況が)が可視化されていく」(マーケティング部・部長代行の今津達也氏)と述べ、POSデータ+AIカメラ活用の流通業への影響は小さくないと説明する。

小売りAI「REAIL」

日本アクセスが説明する、廃棄ロスを減らすための取り組み。

撮影:笠原一輝

日本アクセスは、年間2兆円以上の売り上げを食品流通であげており、なかでも低温商品と呼ばれる冷蔵、冷凍の食品を多数扱っている。同社の大きな悩みは、食品の消費期限切れなどによる廃棄ロスだという。

小売りAI「REAIL」

日本アクセスは、業界で500億円ものロスがあることが課題だと指摘した。

撮影:笠原一輝

今津氏によると、業界団体のデータを元に推計すると、業界全体で500億円ものロスが発生しており、それをいかに抑制するかが、ビジネス的にも、社会貢献的にも重要な取り組みになるとする。

小売りAI「REAIL」

長沼店で行う予定の取り組み。人の動きや導線を画像解析によって可視化している。

撮影:笠原一輝

ただし、廃棄ロスを減らすため在庫を減らすと欠品が発生し、それが機会損失につながっている。そこが課題だ。

これを、AIカメラとPOSデータを組み合わせることで、詳細な売り場の情報をデータとして把握できるようになったと今津氏。

例えば、欠品が発生した場合に、顧客はどういう行動を取るのかがカメラで把握できる。それにより、欠品した結果どんな機会損失があったのかなどを確認できるようになった。

Retail AIの永田社長は「私が師事していたジェフリー・ムーア氏は、AIでオペレーションを変えるだけでは産業は変わらない、産業が変わるためには顧客が変わらなければならないと言っていた。それを実現するために、レトロフィッティング(現物合わせ)で人とモノをマッチングしていき、新しい顧客価値を創造し、産業を変えていきたい」とし、小売り業の変革を推進していく考えを強調した。

(文、写真・笠原一輝)

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February 27, 2020 at 09:00AM
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