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ゴーン会見、海外では報道に続々と「いいね!」情報戦に勝ったのは誰か - Business Insider Japan

レバノン・ベイルートで開催された記者会見にて質問に答える、日産自動車の元最高経営責任者(CEO)、カルロス・ゴーン被告(2020年1月8日撮影)。

レバノンの首都ベイルートで開かれた記者会見では自ら会見を仕切ったゴーン被告。自分の主張を中心に約2時間半、雄弁に語った。

REUTERS/Mohamed Azakir

1月8日朝(米東部時間)のアメリカのCBSニュースで、日産自動車の元最高経営責任者(CEO)、カルロス・ゴーン被告の記者会見を報じた人気アンカーがこう言った。

「僕は(逃亡のために)あんな箱に入れない。閉所恐怖症だから」

すると解説者が鋭く切り返した。

「あの箱は、拘置所ではない。日本の裁判の有罪判決率が99%を超えていて、その司法制度が崩壊しているというのであれば、選択肢はない」

ゴーン被告が、レバノンの首都ベイルートで同日開いた会見内容をそのまま繰り返すような口調だった。

会見では拍手喝采も

ゴーン被告は1月8日午後3時(現地時間)、ベイルートで自らが選んだメディア約50社の記者を相手に会見を開いた。日本メディアで出席できたのは、朝日新聞社、テレビ東京、小学館の3社だと報じられている。

会見でゴーン被告は英語、フランス語、アラビア語、ポルトガル語の4カ国語を駆使し、記者からの質問にも間髪おかず答えた。その様子は世界中で報道され、自由奔放に無実を主張する姿に世界中がクギ付けになった。一瞬にして日本の司法制度と企業統治の負の面が、四面楚歌の状態に置かれたような雰囲気だった。

アルジャジーラによると、ゴーン被告が会見冒頭、「レバノン人であることを誇りに思う」とアラビア語で話すと、拍手喝采が起きたという。レバノンでは海外で成功した人物としての人気を示すものだが、日本では、容疑者、のちに被告として「冷酷で貪欲な独裁者だった」(ゴーン被告)とされたのとは対照的だった。

欧米メディアは一斉に、記者会見をストリーミングで生中継。これに刻々とコメントや「いいね!」のハートマークが表示された。

米名門大学からは講演依頼も

保釈され、東京拘置所を出るカルロス・ゴーン被告

保釈され、東京拘置所を出るゴーン被告(2019年4月25日撮影)。今回の“国外逃亡”で保釈は取り消され、保釈金15億円が没収される。

REUTERS/Issei Kato

会見参加者には、ゴーン被告の友人も含まれていたと見られる。フランスのAFP通信は、友人ジャーナリストの1人が、会見に感銘した様子を報じた。

「家族や子ども、友人のことなど自分のプライベートなことを話すとき、特に冷静だった。彼は強靭だ。真のサムライだ」(友人のリカルド・カラム氏)

ニューヨーク・タイムズはやや皮肉っぽく、会見の様子をこう表した。

「一部は企業のプレゼン、一部は法的な弁護、一部はとりとめもない演説だった(中略)。問題は、(プレゼンに使ったスライドの)字が小さすぎて、部屋にいた誰も読めなかったことだ」

タイムズは、会見直後にゴーン氏を単独インタビューし、その中でゴーン氏は「優良企業に歓迎されるという可能性も含めて、将来について楽観的な見方を示した」という。レバノン入りしてから、アメリカのアイビーリーグと言われる名門大学などが講演の可能性を打診してきたともいう。

欧米メディアが、ゴーン被告の会見内容で共通して注目していたのは、以下の点だ。

・「日産幹部と日本の検察当局の陰謀である」(ゴーン被告)→「逮捕・起訴は日産の西川広人前最高経営責任者(CEO)や豊田正和取締役など日産の『心ない、悪意ある』人々のたくらみの結果でもあると主張した」(ウォール・ストリート・ジャーナル)

→「日産と日本の地検は、従うことに慣れていない、裕福で権力がある人物に地獄をくぐらせた。彼は今や逃亡したので、地獄をくぐるのは彼らの番だ」(ブルームバーグ)

・「私は、正義を回避したのではない。不正義と政治的迫害から逃避したのだ」(ゴーン被告)→「特に辛辣だったのは、孤独感についての説明だ。『新年休みの6日間、一切人との接触がなかった』。妻に会うことができなかった禁令は、『もはや人間ではないような気持ちにさせた』とゴーン氏は言った」(アルジャジーラ)

なぜWSJは特ダネを連発できたのか

日産本社

今回の“逃亡劇”でスクープを連発したのはWSJ。「日本の課題」としてゴーン被告の問題は日産の取締役会で対処すべきだたっと報じている。

Getty/Takashi Aoyama

年末にゴーン被告が国外脱出して以降、特ダネを連発しているのはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)だ。密航計画チームが空港の下見をしたことや費用、ゴーン氏が隠れたケースの写真、そしてキャロル夫人が逃亡後にレバノンの教会の聖人にロウソクを灯したことまで伝えている。

欧米メディアは、このWSJの報道を繰り返し伝えた。

なぜWSJは内外の有力メディアを差し置いてスクープをものにできたのか。WSJ日本版の西山誠慈編集長は、こう話した。

「取材の詳細は明らかにできませんが、レバノンをはじめ、トルコやフランス、アメリカといったこの件に関わりのある国々に取材網を持っていることが大きいと考えており、その点は日本メディアに比べて強みがあります」

また、オピニオン欄では「ゴーン氏逃亡が示した日本の課題」とした記事を載せ、論説部門は、こう論じた。

「こうした一連の出来事は日本の不透明な企業統治と法に基づくデュープロセス(適正な手続き)の欠如を白日の下にさらした。報酬や企業統治に関する問題は取締役会で対処するべきだった。ところがどういうわけか。そしてこれが最大の謎でもあるのだが、刑事事件となった。

この事件をめぐっては、1人または複数の個人が不透明な統治ルールを利用して日本企業の権力の座から外国人を追い出そうとした疑いがぬぐえない」

こうしたオピニオンが出た背景として、西山編集長はこう解説する。

「2011年に起きたいわゆる『オリンパス事件』でイギリス人の経営者が解任されたことも海外メディアとしては記憶に新しいところです。欧米に比べて日本企業では外国人のトップが少なく、その原因や背景に、海外メディアは関心を持っていたこともあるかと思います」

(文・津山恵子)

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