人材派遣大手、パソナグループは31日、東京にある本社の主要機能を兵庫県の淡路島に移す方針を明らかにした。営業、人事部門などの社員約1000人を2021年春までに淡路島に異動させる。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が普及したことを受け、「どこでも仕事ができる」ことを実証する。パソナは淡路島の西岸にテーマパークや劇場、レストランなどを開設しており、こうした観光事業との相乗効果も狙う。
異動の対象となるのは、取引先とPCを通じてオンラインでやりとりができる営業部門や、給与計算、福利厚生などを担う人事部門の社員ら。デジタル技術を活用して社内を変革する「デジタル・トランスフォーメーションセンター」を設置する。異動してくる社員が入居する新たなオフィス(約5300平方メートル)について既に賃貸契約を進めており、大浴場、バーを備えた社宅(140室)や寮も完備する。
営業部門ではパソナが提供する各種のサービスについて取引先とオンラインでやりとりするが、そうしたデータの履歴から顧客のニーズを正確に把握し、ニーズに応じた企画を提案することで仕事の効率化を図る。また、人事部門が手掛ける社員の給与計算業務なども東京本社から移す。取締役会や経営会議も淡路島で開催する計画だ。
コロナ禍で在宅勤務が普及したことから、IT系の企業ではリゾート地にサテライトオフィスを設け、満員電車で都会に通勤する必要がない勤務形態も見られるようになったが、パソナのような大手企業が淡路島に本社を移すケースは珍しい。
「上場企業の先陣を切って本社機能を地方に移転する。淡路島では賃料などが首都圏に比べて5分の1程度と安く、節減できた経費は社員に還元できる」(南部靖之代表)という。
また、パソナは兵庫県立淡路島公園内に、フィールドアスレチックス(野外運動施設)などが楽しめるテーマパーク「ニジゲンノモリ」を開設しており、8月には怪獣「ゴジラ」のミュージアムもオープン。同月には劇場と和洋食レストランを備えた「青海波」も開業した他、人気キャラクター「ハローキティ」のレストランなども営業している。
このため本社機能を淡路島に集約することで、社員のレストラン利用を促進したり、取引先を各施設に招致したりするなど、相乗効果を図って施設の利用率を高める狙いもある。
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