「TOFU」「NATTO」――。コンビニエンストア・ローソンの店頭で驚いた消費者も多かったのではないか。今春、プライベートブランド食品のパッケージを一新したローソン。「分かりにくい」「他の商品と区別しにくい」といった苦情を受けて、一部を見直すことになった。1年以上をかけた一大プロジェクトが盛大に滑ったわけだが、そこには親会社である三菱商事の関与も浮かぶ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
油揚げは「エイブラ・エイジ」!?
竹増社長は動画ライブで見直しを公表
「TOFU」「NATTO」――。新型コロナウイルスの感染が拡大し、コンビニエンスストアの店頭が感染予防の対応に追われた今年の春、ローソンの棚にはこのように書かれたパッケージの商品が並んだ。
中身は、豆腐や納豆だ。ローソンはプライベートブランド(PB)の食品約680品目のパッケージを一新。これが、白地に小さなアルファベットで商品名が書かれるなどしたため、分かりにくいとインターネット上で炎上した。「ABURA AGE」(油揚げ)はツイッターで「エイブラ・エイジ」と揶揄(やゆ)されるありさま。旧パッケージの写真を棚に貼って客の視認性を高める“対策”を取った店舗も話題になり、さすがに一部を見直すことになった。
ネットで騒動となった最中の6月9日、ローソンの竹増貞信社長はネットメディア「ハフィントンポスト」の動画ライブ番組に出演した。
開始直後から口を「へ」の字に結び、終始気まずそうな表情を見せていた竹増社長。「納豆(のパッケージ)に『NATTO』と書かれるなど、分かりにくい」との指摘に対し、竹増社長は「ローソンのPB食品をよりみなさんの生活になじむものにしたいと、デザイナーと打ち合わせ、1年以上かけて(リニューアルを)やってきた」と経緯を説明。「納豆や豆腐、SOFT SPREADと英語名で表記していたマーガリンは7月に見直す」と明らかにした。
著名デザイナーが見直した「それとなく分かる」デザイン
CFOは親会社の三菱商事から出向
今回デザインを担当したのは、国内外で有名ブランドなどを手掛けた実績を持つ佐藤オオキ氏が率いるデザイン事務所「nendo」である。
ローソンの一連のデザインについて、「従来のパッケージにあったような大きな商品写真ではなく、優しい印象のフォントとともに中身や原材料などがそれとなくわかるような手描きのイラストをパターン状にあしらうことで、女性層でも手に取りやすい柔らかな表現を目指した」とnendoはホームページ上で解説している。
そして実は、nendoはローソンの親会社、三菱商事の出資先である。nendoの取締役CFO(最高財務責任者)に名を連ねる濱高朗氏は三菱商事から出向していると、早稲田大学の卒業生を紹介するウェブサイトで濱氏本人が説明している。
ダイヤモンド編集部は特集「最後の旧来型エリート 商社」の第12回において、三菱商事が2017年2月にローソンを子会社化して以降、ローソンの配当性向を17年2月期の68.7%から18年2月期の95.1%に引き上げ、ローソンから得られるリターンの増額を狙ったことを指摘した。実際、ローソンの純利益の減益が続いた半面、三菱商事が得た投資利益は増加に転じた。
今回のPBパッケージ一新プロジェクトもまた、三菱商事の出資先のデザイン事務所にローソンが仕事を依頼した形だ。これが消費者からは「毎日忙しい中、買い物時に棚の商品を探す手間と時間をどう考えているのか」(2人の子どもがいる契約社員の30歳代女性)と不興を買い、一部見直しに追い込まれた。親会社の“余計な手出し”ではなかったか。
減益でもなお三菱商事に配当を巻き上げられた揚げ句、玄人好みの凝ったデザインの開発に1年以上もの時間を費やしてきたローソン。コンビニ加盟店の苦境は19年からクローズアップされており、コロナの感染拡大後はその負担は倍加している。ローソン経営陣や三菱商事は、一体誰の方を向いて仕事をしているのだろうか。
「無印良品」を展開する良品計画は17日、自社の商品を、都内のローソンの3店舗で実験的に販売すると発表した。無印良品の商品はかつて、同じセゾングループだったファミリーマートの店頭で販売されていたが、19年1月をもって終了している。
ローソンのPB新パッケージはどことなく無印良品を思わせるシンプルさがあるが、無印良品のパッケージはすでに消費者に浸透しており、ローソンの狙いに“二番煎じ”感は拭えない。
加えてローソンの現場では、何やら行儀の悪さを思わせる動きがある。
200店から拡大、40~50%の賃料減額を地主に要請
加盟店の経営基盤は3社で最も脆弱なローソン
「新型コロナウイルス感染症影響に伴う賃料減額に関するお願い」――。ある西日本のローソン店舗が立つ土地の地主の元へ4月、このように書かれた紙を持ったローソン社員が訪れた。「ごく一部の地主を除いて、全ての地主にお願いをしていますよ」。社員は地主の男性にこう告げたという。
紙には「減額要望 現在賃料の40%」と書かれていた。社員は男性に対し、他の地主にも40~50%の減額を要請していると話したという。
本編集部は4月、業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンが全国5000店超の地主に対して、賃料減額を要請していると報じた。当時ローソン広報室は「入居している施設の閉鎖で閉店となっている200店について賃料減額を要請している」と回答していた。
今回改めて説明を求めたところ「減額要請している店舗数は増えているが、5000店といったほどの規模ではない」と回答。店舗規模は明らかにしなかった。
ローソンの5月の既存店売上高は前年同月比で10.2%減。外出自粛やテレワークの普及で、オフィス立地の店舗の減収が響いている。加盟店の売り上げ減少は、本部の売り上げの大半を占めるロイヤルティー(経営指導料)収入の減少を意味する。個別の店舗賃料の多寡は加盟店のコストには一切影響しないため、地主への賃料減額要請はあくまで、本部のコスト削減策として行われているものだ。
ただ本編集部の試算では、ローソンの加盟店は平均的な売上高が1割減少しただけで、オーナーの最終的な取り分である純損益は赤字になる。大手3大チェーンの中でも加盟店の経営基盤はローソンが最も脆弱であり、一部の優良店を除けば、多くのオーナーがぎりぎりまでコストを削減して生活の糧を得ている実態が浮かび上がる。
著名デザイナーを起用したPBパッケージに凝った揚げ句、盛大に滑ったローソン経営陣と親会社の三菱商事。彼らの目の前には、他に力を割くべき重要な課題があるはずだ。
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June 22, 2020 at 04:00AM
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