米経済は2月に景気後退入りした(職を失い失業保険申請をするために並ぶ人々、米アーカンソー州)=ロイター
【ワシントン=長沼亜紀】米国の有力経済学者でつくる全米経済研究所(NBER)は8日、2009年6月から始まった米国の景気拡大は今年2月に終わり、米経済は景気後退期に入ったと認定した。拡大期間は10年8カ月(128カ月)に及び、記録のある1854年以降で最長となった。新型コロナウイルス拡大により後退局面入りした米景気がどれぐらいの期間で拡大局面に戻るかは、今後の世界経済の最大の焦点となりそうだ。
NBERは、新型コロナのパンデミック(感染の大流行)や公衆衛生を守るための対応など、過去とは異なる要因が経済の縮小をもたらしたと指摘。「前例のない規模で雇用や生産が落ち込み、それが経済全体に影響をもたらしている」として、すでに景気後退に入ったと結論付けた。
NBERは民間団体だが、様々な景気指標を元に景気の「山」や「谷」を認定している。一般的に2四半期連続で国内総生産(GDP)が減少すると景気後退局面に入ったとされるが、米国は日本と同様、月次ベースで景気の拡大や後退を判定している。
米経済は新型コロナの感染拡大に伴い、2月以降に減速し始めた。3月には多くの州に外出規制など経済活動を制限する動きが広がり、小売店や外食、工場などが閉鎖し解雇が急増した。4000万人以上が失業保険を申請し、失業率は4月には戦後最悪の14.7%に跳ね上がった。
1~3月期の米国の実質経済成長率は前期比年率換算で5.0%のマイナスとなり、4~6月期もマイナス幅が40%を超えるとの予測もある。
5月に入り米国では経済活動を再開する動きが拡大。6月8日には感染拡大の中心だったニューヨーク市でも建設業や製造業などで制限が解除され、雇用情勢や消費活動は徐々に改善していく見通しだ。一部で景気底入れの兆しもみられ、NBERも過去の景気縮小より短くなる可能性があると指摘している。
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June 09, 2020 at 03:12AM
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