[ロンドン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 原油市場は新たな世界に突入した。20日のニューヨーク市場で、米国産標準油種(WTI)5月渡しの価格が史上初めてマイナスに沈むという衝撃の展開を目にした後で問題となるのは、今後1バレル=20─30ドルという、つい最近までの取引レンジに戻るのか、あるいは投資家が常に身をすくませた状況になるのかだ。そして論理的な見地と21日の市場の動きに基づけば、後者が現実化すると想定される。
21日に最終取引日を迎えたWTI5月渡しは、前日終値のマイナス37ドルという深みから、欧州の午後段階でマイナス5ドルまで戻した。だが中心限月となった6月渡しも急落し、さらに北海ブレント先物がこうした流れに同調した点が注目される。
WTI6月渡しの急落は理にかなっている。20日に5月渡しの買い手にいわば「引き取り手数料」が支払われた理由は、オクラホマ州クッシングで現物を受け取っても貯蔵場所がないからだ。何しろ全ての貯蔵施設は満杯か予約済みとなっている。新型コロナウイルス感染拡大で世界全体の原油需要が20─30%消滅して貯蔵量が急拡大しつつあるという足元の事態を踏まえると、同じことが来月に起きてもおかしくない。
北海ブレントの場合、価格がマイナスになりにくい、より多くの要素がある。WTIと異なり、現物受け渡しでなくキャッシュでの決済ができるほか、過剰生産分を洋上のタンカーに積めるという面で貯蔵スペースのひっ迫度合いも相対的には小さい。もっと大事なのは、サウジアラビアやロシアなどの有力産油国が来月から実施する日量970万バレルの協調減産は、北海ブレントの価格にほぼ織り込まれている点にある。
だからたとえ供給が過剰で、需要が過小でも、価格がゼロ未満にまで下がる必要はない。減産が不十分で世界的に貯蔵スペースがなくなれば、期近物は多くの生産者が産油コストさえカバーできなくなる1バレル=10ドル前後に下落するのが妥当だ、とあるトレーダーはBreakingviewsに話した。
ところがそこに20日のトラウマが入り込んでくる。マイナス価格というパンドラの箱が開けられた以上、WTI6月渡しの価格もゼロを割り込めば、北海ブレントも追随する恐れがある。市場のオーバーシュートというのは、価格が上下どちらにも簡単に振れてしまう局面で起こり得る現象なのだ。
●背景となるニュース
*北海ブレント先物6月渡しは21日、一時1バレル=18.10ドルと中心限月としては2001年11月以来の安値を付けた。
*米WTIの6月渡し終値は43%安の11.57ドル。この日が最終取引日だった5月渡しは前日に続きマイナス圏に陥る場面があった。
*ロシア政府報道官は21日、有力産油国が必要なら追加減産を協議する可能性があると述べた。
*トランプ米大統領は20日、米WTI期近物の急落について「資金的な窮迫」による短期的な問題だと指摘し、政権として世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアからの原油輸入停止を検討する考えを示した。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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