（ブルームバーグ）： 日本自動車工業会の豊田章男会長（トヨタ自動車社長）は19日、新型コロナウイルスの感染拡大で国内自動車メーカー各社も北米や欧州で相次いで生産を停止するなど影響が業界全体に広がっていることについて、情勢の変化の速さに驚いているとし、収束時期などについての見通しを立てるのは難しいとの考えを示した。
「こんなに世の中ががらっと変わるのかというのが正直なところ。本当に急激に全ての人の生活が変わることになった」。豊田会長は、新型ウイルスへの懸念から会場に集まる記者数を限定し、インターネットでも中継した会見でこう述べ、例年はこの時期に公表している翌年度の国内四輪需要見通しも公表を見合わせるとした。
中国では新型コロナの発生源とされる湖北省武漢市で新たな感染者がゼロになるなど事態収束の兆しが見えてきた一方、自動車の主要市場である欧米では感染の拡大が続いている。トヨタやホンダ、日産自動車などの日本勢を含めた自動車メーカーは現地工場の停止を余儀なくされており、事態が長期化すれば業績への影響は避けられない。
トヨタなど自動車各社、北米でも工場停止－新型コロナ感染拡大で
豊田会長は、「リーマンショックの時は中国市場が全世界を非常にけん引してくれていたので、グローバルではバランスが取れていた」ものの、「そういうところが今回期待できない」として市場の先行きに懸念を示した。
また、感染拡大により中国と日本で１月と２月の販売が減少したをことを例に挙げ、「生産の方もそれに準じて需給調整が始まった段階」との見方を示した。
国内の地域経済への影響については、「受注、販売が下がっていく傾向の中で、今後、生産の方にも影響がある」のは間違いないとした上で、75％を外注の部品に頼る自動車業界では関連の部品メーカーなどへの「波及は大きくなる」と述べた。
国内市場の需要見通しについて聞かれると、新型肺炎は今期（2020年３月期）よりも来期（21年３月期）への影響の方が大きくなると指摘する一方、現在の状況では先を見通すことは難しいとし、「長く続かないことを祈っている」と話した。
(c)2020 Bloomberg L.P.
Masatsugu Horie， Tsuyoshi Inajima
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