山形県の百貨店「大沼」の経営破綻で退職金も支払われず解雇された従業員191人について、大沼関係者は「経営陣と銀行団の経営判断の犠牲となった」と断じる。相次ぐ経営トップの交代などの迷走に加え、再建の出発点となった、主力行の山形銀行を含む銀行団による私的整理が失敗していたとの見解だ。
経営難が続いていた大沼は2017年12月、東京の投資事業会社「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」(マイル社)とスポンサー契約を結び18年4月からマイル社の下で再建を図った。金融機関の視点では貸し出しの一部を放棄する私的整理で、新規融資はしなくなった。銀行団の債権放棄額は15億円弱。
国制度に"丸投げ"
破産申請と従業員の解雇を公表した27日の記者会見で長沢光洋代表取締役(58)は従業員退職給付債務の積み立て不足を認め、自身が社長に就いた18年春を「そういう状況で再生計画がスタートした」と説明した。
退職給付債務は、将来の従業員の退職金を支払うための会計処理の一種。国内外の企業が対応したが、大沼は放置し銀行団も積み立て不足を見過ごした格好だ。大沼関係者は「(銀行団の)債権放棄額そのものの妥当性に疑念がある」と話す。会見で長沢氏は「持っている資産で退職金を払うのは現実的に不可能」と述べ、国の立て替え払い制度に“丸投げ”した。
18年春以降、大沼のブランド力は低下し、山形本店の建物と土地などの資産の所有権は、この間支援を受けてきた県内の実業家に渡った。大沼は19年12月に「山形大沼株式会社」を設立。大沼本体に負債を残し、新会社が事業を引き継ぐ新旧分離を進める計画を検討していたと、長沢氏は会見で明かした。大沼関係者は「2年前に民事再生や会社更生などの法的整理を実行すれば、退職金の一部は払えた可能性が高い」と経営陣の判断を疑問視する。一方で、私的整理により大沼創業家の資産は守られた。
今後、破産管財人が大沼の財産の調査を進める。焦点の一つは、マイル社が大沼から入金したままになっている約4000万円だ。長沢氏は「この資金があれば破綻は避けられた」と主張するが、マイル社関係者は「具体的な返還請求を受けていない」という。大沼経営陣は、適切な業務を行う義務(善管注意義務)を果たしたのか。元従業員の一人は「刑事司法が実態を解明してほしい」と、絞り出すようにつぶやいた。【後藤逸郎】
百貨店を巡る県内の主な動き
1950年 大沼が百貨店設置
56年 丸久開店
※73年に丸久松坂屋、80年に山形松坂屋に
67年 大沼酒田店開店
70年 大沼米沢店開店
71年 十字屋山形店開店
76年 大沼酒田店が酒田大火で焼失
84年 大沼酒田店閉店
94年 山形ビブレ開店
2000年 山形ビブレ閉店
山形松坂屋閉店
18年 十字屋山形店閉店
19年 大沼米沢店閉店
20年 大沼が自己破産申請
「ショックで涙が…」支援説明会に190人
山形市とハローワーク山形(山形公共職業安定所)は30日、大沼を解雇された従業員向けの再就職支援説明会を山形ビッグウイング(同市平久保)で開いた。2回に分けて実施し、ほぼ全員の約190人が参加。離職票と求職申し込みの提出手続きや各種支援制度の説明があった。
食品フロアに勤めていた60代女性は「ショックで涙がこぼれた。閉店は致し方なかったと思うが、まだ再就職への気持ちの整理がつかない」と話した。
ハローワーク山形の原清文所長は「190人規模の説明会は初めてに近い。個人のニーズを把握し適切なマッチングに努めたい」と述べた。2月14日には同所で村山地方の約120社を集めた就職相談会を開く。【的野暁】
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January 31, 2020 at 08:38AM
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