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日経平均、大納会29年ぶり高値 終値2万3656円 年18%上昇 - 日本経済新聞

2019年は世界的な利下げを追い風に緩和マネーがあらゆる資産の価格を押し上げた。日経平均株価は30日、大納会としては1990年以来、29年ぶりの高値を付け、世界の株式時価総額は86兆ドル(約9400兆円)と過去最大に膨らんだ。株高時に値下がりする傾向がある債券や金も上昇した。米中貿易交渉の進展や世界景気の再加速を先取りする形で進むカネ余りの資産価格上昇は危うさもはらむ。

東京株式市場の19年最後の取引となる30日の大納会で、日経平均は前週末比181円10銭安の2万3656円62銭となった。昨年末に比べた上昇率は18%だった。

「過去に見たことのないほど劇的な変化だった」。米モルガン・スタンレーの債券部門責任者、マイケル・クシュマ氏は19年の世界の金融政策の転換をこう振り返る。

年明けすぐの1月4日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が引き締めの停止を示唆すると、世界の金融市場の空気は一変した。結局、今年は3回利下げしたFRBをはじめ50以上の中銀が緩和拡大に動いた。緩和相場が復活し、幅広い資産が値下がりした18年とは正反対の動きとなった。金融緩和は景気後退への市場関係者の懸念も和らげた。

世界の株式時価総額は1年で17兆ドル増加し、記録を遡れる01年以降で最大の伸びを記録した。主要46市場のうち44カ国・地域で株価が上昇。米ダウ工業株30種平均や欧州、ブラジルの主要指数が相次ぎ最高値を更新した。

債券市場では各国で国債や社債が値上がり(利回りは低下)した。世界的な超低金利で運用難に陥ったマネーは、高リスクで比較的金利が高い低格付けの債券(ハイイールド債)に流入し、主要指数は9%高と3年ぶりの値上がり率となった。世界の不動産投資信託(REIT)を対象とする主要指数の値上がり率も19%に達した。

通貨の安定が国境を越えたマネーの動きを後押しし、リスク資産買いを支えた面もある。対ドルの円相場は高値が1ドル=104円10銭、安値が112円40銭と値幅は8円程度に収まり、2年連続で最少を更新する見通し。「世界的な金利低下で日本と海外の金利差が縮小したことが為替相場が動かない要因」(クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司氏)だ。ユーロ・ドルの動きも鈍かった。

年末に米中貿易交渉が第1弾の合意にいたったこともあり、市場関係者の景気の先行き警戒感はやや和らいでいる。商品市場では景気の影響を受けやすい銅の価格が持ち直してきた。ただ、昨年前半に比べまだ1割ほど低い水準にとどまる。原油の上昇率は36%と主要資産で最も大きいが、減産や中東情勢の不安が支えで、実需は鈍い。

実際、現在の株高はまだ実体経済に目立った回復が見えないなかで進んでいる。世界銀行の予測では19年の世界全体の国内総生産(GDP)の伸びは2兆ドルにとどまる。世界の購買担当者景況感指数(PMI)は景況判断の境目となる50をわずかに上回る水準。特に製造業の回復が鈍い。

資産高と実体経済のギャップを象徴するのが高止まりする金価格だ。ニューヨーク先物価格の年間上昇率は2割と9年ぶりの高水準を記録した。金は通常、株式や通貨などへの不信感が高まると資金が流れ込む傾向がある。米中交渉は新たな妥協点を探るハードルは高くなる。「金融市場の動揺に備える保険として金を手放しにくい状況が続く」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏)という。

市場関係者の疑念はマネーの動きの鈍さにも表れている。東証の株式売買代金は12年のアベノミクス開始以降で最低となり、ニューヨーク証券取引所でも売買高は27日時点で前年を3%下回っている。調査会社EPFRによると、貿易摩擦が本格化した18年夏から今年6月までの1年間で世界の株式ファンドからは約600億ドルが流出。その後、流れは逆転したが、流入額は180億ドルにとどまる。

長期投資家の動きは鈍いまま、「金利低下で借り入れを増やしやすくなったヘッジファンドなどの短期筋による株買いが株高を加速させた」(野村証券の高田将成氏)との指摘もある。売り手が少なく、資金流入が大きな流れにならなくても、じわじわと株価が押し上げられる構図だ。

一方で金融緩和の副作用は着実に膨らんでいる。国際金融協会(IIF)によると、世界の債務残高は19年末に255兆ドルと過去最高になる見通し。「本来なら淘汰されるべき『ゾンビ企業』にもマネーが向かい、低成長の連鎖が続きかねない」(UBSウェルス・マネジメント本部の青木大樹氏)。

政策当局は副作用への目配りを強めている。12月には米国が利下げ停止を示し、欧州ではスウェーデンの中央銀行が家計債務の膨張を理由にマイナス金利政策の打ち切りを決めた。20年には緩和相場が曲がり角を迎える可能性もある。

(富田美緒、安西明秀、小野嘉伸、南畑竜太、長谷川雄大)

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December 30, 2019 at 01:03PM
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